OTT Store / コラム / 有料動画配信7,101億円・利用率39.9%|2026年の一次データで設計する動画配信サービスの立ち上げ

有料動画配信7,101億円・利用率39.9%|2026年の一次データで設計する動画配信サービスの立ち上げ

国内の有料動画配信市場は2025年に7,101億円となり、調査開始以来はじめて7,000億円台に乗りました。一般社団法人日本映像ソフト協会(JVA)が2026年4月に公表した「映像ソフト市場規模およびユーザー動向調査2025」の推計値です。この記事では、その市場規模データに、総務省情報通信政策研究所が202…

国内の有料動画配信市場は2025年に7,101億円となり、調査開始以来はじめて7,000億円台に乗りました。一般社団法人日本映像ソフト協会(JVA)が2026年4月に公表した「映像ソフト市場規模およびユーザー動向調査2025」の推計値です。この記事では、その市場規模データに、総務省情報通信政策研究所が2026年6月26日に公表した「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」の利用率と視聴時間を重ね、これから動画配信サービスを立ち上げる事業者が、価格・ターゲット・収益モデルをどの数字から決めるべきかを整理します。

有料動画配信市場は7,101億円、前年比109.3%で初の7,000億円台

JVAの推計によると、2025年の有料動画配信市場は7,101億円、前年比109.3%でした。この市場は2013年に597億円で計測が始まっており、12年で約11.9倍になった計算になります。年ごとの推移は次のとおりです。

  • 2013年 597億円/2014年 614億円/2015年 961億円/2016年 1,256億円
  • 2017年 1,510億円/2018年 1,980億円/2019年 2,404億円
  • 2020年 3,973億円/2021年 4,863億円/2022年 5,504億円
  • 2023年 5,991億円/2024年 6,499億円/2025年 7,101億円

注目すべきは伸び方の変化です。2020年は前年から1,569億円増えていますが、2025年の増分は602億円にとどまります。JVAも報告書のなかで、コロナ禍に急速に拡大した有料動画配信市場の成長が一段落したと指摘しています。市場全体(映像ソフト市場)としては2018年から2025年まで8年連続で成長しているものの、2022年以降は4年連続で1桁成長です。「市場が伸びているから参入すれば伸びる」という前提は、この数字からはもう支持されません。

映像ソフト市場8,554億円のうち83.0%が配信、パッケージは1,453億円

JVAはDVD・Blu-rayのセルとレンタル、そして有料動画配信を合わせて「映像ソフト市場」と定義しています。2025年の推計規模は8,554億円、前年比103.4%でした。内訳は以下のとおりです。

  • 有料動画配信:7,101億円(前年比109.3%)
  • セル(DVD・Blu-rayの購入):1,288億円(前年比86.2%)
  • レンタル:165億円(前年比58.3%)
  • セル+レンタルのパッケージ市場:1,453億円(前年比81.8%)

公表値から計算すると、映像ソフト市場に占める有料動画配信の比率は83.0%、パッケージは17.0%です。セル市場は2007年の調査開始以来最小の規模で、2007年と比べると約42%まで縮小しました。レンタル市場は前年比58.3%と、減少率としても過去最大を記録しています。市場全体が前年比103.4%の微増にとどまったのは、配信の伸びをパッケージの縮小が相殺したためです。

事業者側の含意ははっきりしています。「レンタル店の代わりに単品課金で貸す」ような発想は、母数が165億円しかない市場を取りに行くことになります。伸びしろは配信側にしか残っていません。

有料動画配信の利用率は39.9%で過去最高、5年で12.9ポイント上昇

JVAの規模調査では、2025年に有料動画配信を利用した人の割合は39.9%で、調査開始以来の最高値でした。年ごとの推移は2020年27.0%、2021年28.7%、2022年28.8%、2023年30.5%、2024年33.6%、2025年39.9%です。直近1年で6.3ポイント上がっており、これは近年で最大の上げ幅にあたります。

ところが、セル・レンタル・有料配信のいずれかで映像にお金を払った「有料コンテンツ利用者」の割合は43.3%で、2020年の42.9%とほぼ変わっていません。セル購入率は6.0%、レンタル利用率は4.3%まで下がりました。つまりこの5年間で起きたのは、映像にお金を払う人が増えたことではなく、すでに払っていた人の支払い先がパッケージから配信へ移ったことです。

新しく参入するサービスにとって、これは前提条件を左右する数字です。市場に「まだ映像に課金していない人」を掘り起こす余地は小さく、実際には既存の課金者の予算を奪う勝負になります。

課金ユーザーの年間支出は23,882円、月あたり約1,990円

有料動画配信の利用単価は年間23,882円でした。2024年の24,085円からわずかに下がっており、JVAはセル28,289円、レンタル5,528円を含めて、すべての利用単価が下落した初めての年だと記しています。年間23,882円を12で割ると月あたり約1,990円です。

この1,990円は、1つのサービスの月額ではありません。ある人が契約している動画配信サービス全部を足した金額です。主要サービスの月額が1,000円前後から2,000円前後に分布していることを考えると、平均的な課金者は1〜2契約でこの枠を使い切っていることになります。

参考までに、市場規模7,101億円を利用単価23,882円で割ると約2,973万人という数字が出ます(本記事による試算。JVAは課金者数を公表していません)。

新規サービスの価格を月額1,000円台に置くという判断は、この1,990円の枠に割り込むという意味になります。相手はNetflixやAmazonプライムビデオではなく、「その人がすでに払っている合計1,990円」です。上乗せしてもらうのか、何かを解約させるのかを決めないまま価格表を作ると、想定より解約率が高くなります。

「使う」56.6%と「払う」39.9%の間にある16.7ポイント

総務省の調査では、Netflix、Amazonプライムビデオ、Huluなどの「オンデマンド型の動画配信サービス」の利用率は56.6%で、前年度の53.7%から2.9ポイント上がりました。年代別では次のようになっています。

  • 10代 69.3%/20代 80.7%/30代 80.0%
  • 40代 69.1%/50代 52.4%/60代 44.5%

同じ調査で、YouTubeなどの「オンデマンド型の動画共有サービス」は84.7%、TVerなどの「オンデマンド型の放送番組配信サービス」は43.1%でした。動画配信サービスを使っている人は6割近くいるのに、JVAで自分の財布から払っていると答えた人は39.9%です。調査主体も対象年齢も違う(総務省は13〜79歳、JVAは16〜69歳)ため厳密な引き算はできませんが、16.7ポイントぶんの人は、家族のアカウントに相乗りしているか、他サービスの付帯特典として使っているか、無料期間の中にいます。

立ち上げ時の見込み数を「動画配信サービスの利用率」から引くと、この差のぶんだけ過大になります。課金の意思がある母集団は、利用率よりかなり小さいところから始まります。

時間は20代、お金は平均45.6歳──休日64.6分と平均年齢のねじれ

総務省の生活行動時間調査によると、「動画配信サービスを見る」平均時間は全年代で平日23.8分、休日35.8分でした。年代別に見ると偏りがはっきり出ます。

  • 平日:10代 20.4分/20代 38.2分/30代 34.1分/40代 28.8分/50代 16.9分/60代 18.8分/70代 14.4分
  • 休日:10代 29.3分/20代 64.6分/30代 49.7分/40代 42.1分/50代 35.1分/60代 25.0分/70代 11.2分

最も長いのは20代で、休日は64.6分と平日の約1.7倍になります。一方でJVAは、有料動画配信利用者の平均年齢を45.6歳、既婚率を52.4%、男女比を男性51.5%・女性48.5%、三大都市圏の居住比率を57.1%(東京圏34.8%、近畿圏13.9%、中京圏8.4%)と報告しています。

見る時間を最も持っているのは20代、支払っている人の中心は40代半ばの既婚世帯という、ねじれた構造です。滞在時間の指標だけを見てプロダクトを作ると20代に最適化され、課金してくれる層の使い勝手が置き去りになります。なお同じ調査では「動画投稿・共有サービスを見る」時間が平日54.5分・休日73.1分と配信より長く、可処分時間はすでにYouTube側に押さえられています。

データが指し示す打ち手

ここまでの数字から、参入の選択肢を消去法で絞ります。

第一に、総合型の見放題サービスで正面から戦う道です。有料コンテンツ利用者が43.3%で頭打ちであり、課金者1人あたりの支出も23,882円で減少に転じている以上、既存の1,990円を奪い返す前提になります。作品調達費で殴り合う構造になるため、後発が取れる選択肢ではありません。

第二に、広告収益型(AVOD)で規模を取る道です。ただし動画共有サービスの利用率は84.7%、視聴時間は平日54.5分と、動画配信サービスの23.8分の2倍以上あります。可処分時間の奪い合いで先行者に挑む形になり、広告単価が積み上がる前に配信原価が先行します。

第三に、特定領域に垂直特化し、月1,990円の「外側」にある予算を取る道です。学習、フィットネス、ファンコミュニティ、業界向け研修などは、エンタメの視聴予算ではなく別の費目から支払われます。市場のパイ争いに参加せずに済むぶん、課金率と継続率を自分でコントロールできます。

第四に、自社コンテンツの配信基盤として持つ道です。会員向け・顧客向けの配信は、7,101億円のシェアを取りに行く話ではなく、既存事業の継続率や単価を上げる話になります。

残るのは第三と第四です。どちらを選ぶにしても、判断軸は「平均45.6歳・既婚52.4%・三大都市圏57.1%という層に届く導線を、自社がすでに持っているか」に集約されます。導線がある側から作るほうが、作品数を増やすより先に効きます。

動画配信プラットフォーム構築の相談について

垂直特化型や会員向けの動画配信を立ち上げる場合、成否を分けるのは作品数ではなく、課金導線と継続の設計です。ここまで見てきたとおり、課金者1人あたりの年間支出は23,882円で頭打ちになっており、「もう1つ契約してもらう」ための理由をプロダクト側に用意できるかが勝負どころになります。

ROOT TEAMでは、配信基盤の構成、課金・認証まわり、視聴データの取り方を含めて、動画配信プラットフォームの構築をご相談いただけます。要件が固まっていない段階でも、どの層にどの価格で当てるかから一緒に整理します。

  • ROOT TEAM お問い合わせ: https://rootteam.co.jp/contact/

まとめ

  • 2025年の有料動画配信市場は7,101億円(前年比109.3%)で、初めて7,000億円台に到達した
  • 映像ソフト市場8,554億円の83.0%を配信が占め、パッケージは1,453億円まで縮小した
  • 有料動画配信の利用率は39.9%と過去最高だが、有料コンテンツ利用者は43.3%で5年間ほぼ横ばい。増えたのではなく移動した
  • 課金者1人あたりの年間支出は23,882円(月あたり約1,990円)で、2024年から減少に転じた
  • 「動画配信サービスを使う」56.6%と「有料で使う」39.9%の間には16.7ポイントの開きがある
  • 視聴時間が最も長いのは20代(休日64.6分)だが、課金者の平均年齢は45.6歳。時間とお金の出どころがずれている
  • 後発が取れるのは、月1,990円の外側から予算を取る垂直特化型か、自社顧客向けの配信基盤

よくある質問(FAQ)

Q. 有料動画配信市場は今後も伸びますか?

A. 本記事で扱ったJVAの調査は2025年実績までの推計であり、将来予測は含まれていません。事実として言えるのは、2025年が前年比109.3%であること、2022年以降の映像ソフト市場全体は4年連続で1桁成長にとどまっていること、JVA自身が急成長期は一段落したと記していることの3点です。

Q. 国内の有料動画配信の課金ユーザーは何人いますか?

A. JVAは課金者数そのものを公表していません。公表されている市場規模7,101億円を利用単価23,882円で割ると約2,973万人になりますが、これは本記事による試算です(2026年8月25日実施)。JVAの利用率39.9%とあわせて、規模感の目安としてお使いください。

Q. 新規サービスの月額はいくらに設定すべきですか?

A. 本調査から単一サービスの適正価格は導けません。導けるのは、課金者1人が動画配信全体に払っている年間総額が23,882円(月あたり約1,990円)で、しかも前年から減っているという事実です。この枠の中で取り合うのか、別の予算枠から取るのかを先に決めるほうが、価格そのものより先に効きます。

Q. 若年層と中高年層のどちらをターゲットにすべきですか?

A. 数字の上では役割が分かれています。総務省調査では20代の視聴時間が休日64.6分と最長で、コンテンツの消費量は若年層に偏っています。一方でJVA調査では課金者の平均年齢が45.6歳、既婚率52.4%です。無料・広告モデルなら前者、課金モデルなら後者の生活時間に合わせる、という切り分けが妥当です。

出典

  • 一般社団法人日本映像ソフト協会「映像ソフト市場規模およびユーザー動向調査2025(広報資料)」2026年4月現在。調査期間2026年1月12日〜19日、規模調査n=1,966+有料動画配信ブーストn=1,448、日本国内在住の満16〜69歳男女、調査機関GfK/NIQ Japan: https://www.jva-net.or.jp/report/annual_2026_5-18.pdf
  • 総務省情報通信政策研究所「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」2026年6月26日公表。13〜79歳の男女1,800人(生活行動時間調査の平日はn=3,600、休日はn=1,800): https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000130.html
  • 同報告書本体(PDF): https://www.soumu.go.jp/main_content/001079141.pdf
  • 本記事の試算(実施日2026年8月25日):配信比率83.0%=7,101÷8,554、月あたり支出約1,990円=23,882÷12、課金者数約2,973万人=7,101億円÷23,882円。いずれも上記公表値からの単純計算です。

OTT Streamで関連サービスを比較する

料金、無料体験、対応デバイス、解約方法はサービスごとに異なります。気になる動画配信サービスは、詳細ページで最新条件を確認しながら比較しましょう。

動画配信サービスを探す

関連する動画配信サービス